「ノンケミカル」だから安全とは限らない? 本当に肌に優しい日焼け止めの選び方 前編

顔周りは帽子か日傘で影を作り、半袖から露出する肌には黒い長手袋を装着する等、街では紫外線対策に余念のない女性の姿が目につくようになりました。夏の到来を目前に、今年の「日焼け止め」を購入される(された)方もいるのではないでしょうか。今回は専門家の立場からみた「ノンケミカル」な日焼け止めについて、株式会社ルバンシュ 代表取締役の千田 和弘(せんだ かずひろ)さんに教えてもらいました。

目次
「ノンケミカル」の意味とは~ メーカーと消費者の間にある認識のズレ
ケミカルに頼らざるをえない自然派化粧品会社の実情


株式会社ルバンシュ 代表取締役の千田 和弘(せんだ かずひろ)さん

 

「ノンケミカル」の意味とは~ メーカーと消費者の間にある認識のズレ

(以下、澤) :日焼け止めが店頭に並ぶシーズンとなりましたね。
私の場合、「できるだけ肌に負担のかからない」製品を求めては、毎年日焼け止め選びに迷っています。

本当に肌に優しい処方の日焼け止めとは、どのようなものなのか。化粧品を
作る側からみた、肌に良い・悪い日焼け止めの見分け方をお聞かせ願えますか。

千田 和弘さん(以下、千田) :それでは日焼け止めの種類から説明しますね。紫外線をカットする成分の違いにより、日焼け止めは2種類に分けられます

ひとつは、UVカットのためにメトキシケイヒ酸エチルヘキシルやオキシベンゾン-3のような化学成分主体の「紫外線吸収剤」を配合した製品です。

もうひとつは、UVカットのために「酸化チタン」や「酸化亜鉛」などの天然に存在する鉱物由来の成分で作られた「紫外線散乱剤」を配合した製品です。

多くの化粧品会社は、主成分に「紫外線吸収剤」を使っているか・いないかで「ケミカル」「ノンケミカル」のカテゴリ分けをしています。

消費者の方はおそらく、「ノンケミカル」「紫外線吸収剤不使用」などと書かれた日焼け止めを見かけると、「(全成分が)ケミカルではない、ナチュラルなもの」と製品に良いイメージを持たれるでしょうね。でも、実は違うんです。

製品に表示される「ノンケミカル」とは、あくまでも紫外線をカットする成分にはケミカルを使っていないことを意味しているケースがほとんどです。

 :「ノンケミカル=全成分ナチュラル」とは限らないのですね。

千田 :そうです。例えば、油分や保湿成分・界面活性剤には化学成分を使用しておきながら、UVカット成分にはナチュラルな成分を用いることで、全成分がナチュラルであるかのように「ノンケミカル」を強調した日焼け止めが数多く存在します。

ですから、ボタニカルやオーガニックと記載されている日焼け止めこそ、注意が必要です。

化粧品ユーザーは、商品の外箱やポップに「ノンケミカル」の文字が並んでいるからといって、その部分だけを読んで安心してはいけない

これが今回、私の一番言いたいところです。

 :「ケミカル」と「ノンケミカル」の意味を、今までずっと勘違いしていました! 何故こんな製品が市場に出回っているのか、その辺りを教えてもらえますか?

 

ケミカルに頼らざるをえない自然派化粧品会社の実情


千田 :以前にもお話したように、化粧品会社は3年以上品質を保持できる
(例えば、水と油が分離しないように保てる)コスメを製造しなければならない、いわゆる3年ルールの規制を守る必要があります。

そのルールを前提に、「ノンケミカル」な日焼け止めを作るためには、まずUVカット成分には、天然鉱物由来の「酸化チタン」や「酸化亜鉛」などの“白い粉末”を基剤として配合します。

紫外線カット指数であるSPFを上げるためには、この“白い粉末”をたくさん配合する必要があります。

粉末が多く入ると、肌に塗布した際の滑りが悪くなってしまいます。そこで、日焼け止めの伸び(滑り)を良くするために“油”が必要になります。
ただし粉末の配合量に比例して“油”の配合量も増えてしまいますので、天然の“油”では肌がギラギラとテカってしまいます。

そんなときに便利なのが、“石油系のシリコン”です。とてもサラッとした使用感に特徴のあるシリコンの種類は多岐にわたり、主に日焼け止めに使用するシリコンは、“揮発性シリコン(シクロペンタシロキサン)”といいます。

肌の温度で少しずつ揮発して肌の上からなくなっていくため、油分を感じさせないサラッとした使用感が実現できます。それゆえに、自然派化粧品メーカーは、天然の“油”の代わりに“揮発性シリコン(シクロペンタシロキサン)”を日焼け止めに配合しています。

さらに、スキンケアの乳液やクリームであれば、一般的には“水溶性成分”と“油溶性成分”を混ぜる(乳化)だけですが、ノンケミカルな日焼け止めの場合、そこに“水にも油にも溶けない粉末”が加わるので、混ぜる(乳化)工程もより大変になってきます。

乳液やクリームを作るときと比べて、乳化安定させるのがより難しく、界面活性剤にも石油系化合物の力に頼らざるをえない面があるんです。

 :ノンケミカルな成分を使った日焼け止めを作るためには、不安定な要素をケミカルな成分で補わなければならない、そんな事情があったのですね。

千田 :日焼け止めは、メーカー側にとって、製造と品質保持が大変な製品なんです。全て天然由来の原料だけで作るには限界がありますから。

どうしてもSPF値などが犠牲(数値が低め)になりがちで、当社の日焼け止めの数値も全成分ナチュラルにこだわったため、日常紫外線を防ぐレベルのSPF25です。

たとえ自然派化粧品メーカーであっても、UVカット成分にケミカルな紫外線吸収剤を使わない代わりに、それ以外にはケミカルなものを配合してしまう。その方向に傾いてしまうのは、わからなくもありません。

 :今まで「紫外線吸収剤」が一番肌にダメージを与えると信じていたので、「紫外線吸収剤不使用」の日焼け止めでさえあれば、肌に優しくて安心できる製品だと思い込んでいました。浅はかでしたね。

次回は、実際に販売されているノンケミカルなのにケミカルな成分を含む日焼け止めについて、是非教えてください。

(前編おわり)


“オーガニック植物成分”と“天然由来成分100%”の日焼け止めクリーム
ルバンシュ モイストUVクリーム
紫外線吸収剤は無配合、日焼け止め特有の臭気もカット。ノンシリコン&天然由来成分オンリーなのに、みずみずしいクリームがなめらかに伸びて透明感ある仕上がりに。


皮膚科医と共同開発した日焼け止めスティック。
ルバンシュ エポカル UVプロテクト
皮膚科医(再生未来クリニック院長・市橋正光先生[神戸大学名誉教授、医学博士])に技術指導をいただいた天然由来成分100%の子供用の日焼け止め商品です。口に入ることも考慮し、食用成分をベースにしました。


 

関連記事

  1. 化粧品かぶれの意外な原因、経皮感作(けいひかんさ)とは? 皮膚科医関先生に聞きました。(前編)

  2. 知っているようでしらない医療レーザー治療。皮膚科医関先生に聞きました。(中編)

  3. 本物の自然派化粧品は容器の色で確認できる?

  4. 本物の美肌を目指して心がけたいこと。皮膚科医関先生に聞きました。(後編)

  5. 無添加化粧品における防腐剤の抜け道「キャリーオーバー」

  6. 基礎化粧品に白い粉末顔料が配合されている?!その理由は?

  7. 化粧品に石油系原料が配合される理由、消費者があまり知らない「3年ルール」

  8. 「ボタニカル」とは?シャンプーなどで耳にするキーワード

  9. 植物本来の持つ「洗う」力をシャンプーに

カテゴリー

最近の記事

  1. 自然に生かされてコミュニティを創造する~山中温泉「かよう亭」上口代表インタビュー…
  2. 「ノンケミカル」だから安全とは限らない? 本当に肌に優しい日焼け止めの選び方 後…
  3. 「ノンケミカル」だから安全とは限らない? 本当に肌に優しい日焼け止めの選び方 前…
  4. 人と里山の未来をはぐくむ~ 農業は「自由」
  5. 本物の自然派化粧品は容器の色で確認できる?

人気記事

PAGE TOP