自分ではどうしようもできない肌トラブルに悩む人が、最後の頼みと駆け込む場所、それが皮膚科ではないでしょうか。
セキひふ科クリニック 院長であり富山大学医学部臨床教授の関太輔(せき たいすけ)さんは、そんな患者たちに向き合いながら日々治療をされています。
皮膚科医の立場からみた肌と化粧品にまつわるお話をライター澤あきこ(さわ あきこ)が伺いました。前・中・後編の3回にわたりお届けします。
目次
肌の経皮感作、そのメカニズムとは?
今まで使用していた化粧品でも経皮感作は起きる可能性がある
皮膚科医が教える経皮感作との付き合い方
セキ皮膚科クリニック 院長 関 太輔(せき たいすけ) 医師
http://www.seki-d-clinic.gr.jp/
医学博士・富山大学医学部臨床教授/日本皮膚科学会認定皮膚科専門医/日本東洋医学会専門医/温泉療法認定医
富山大学(旧富山医科薬科大学)皮膚科講師を経て2000年7月 富山市呉羽にてクリニックを開業。アトピー外来、ニキビ外来、乾癬外来、美容外来、一般外来での経験を生かし、「最新医療をお手軽に」をモットーに、皮膚病でお悩みの方に役立つ医療を提供。
肌の経皮感作、そのメカニズムとは?
澤あきこ(以下、澤) :関先生、今日はよろしくお願いいたします。日頃患者さんたちを診察なさって、「これは皆さんにお伝えしたい」と思われた事柄などありましたら、ぜひお聞かせいただけませんか。
関 太輔(以下、関) :それでは化粧品かぶれの原因となる「経皮感作(けいひかんさ)」について話しましょうか。
澤 :「経皮感作(けいひかんさ)」ですか? 初めて聞く言葉ですが、どういう意味でしょう。
関 :皮膚を介して身体に入ってきたものに対して、体内で抵抗する仕組みができあがった状態を「感作」と呼びます。アレルギーが成立する、と考えてもらったらいいのかな。
澤 :かぶれはアレルギー反応なんですね。その成り立ちを教えていただけますか。
関 :皮膚には異物の侵入を防ぐバリア機能が備わっていますが、肌が荒れているとバリアが緩くなる。そこから、いろんな物質が入りやすくなるんです。
皮膚では門番のような役目をするランゲルハンス細胞が、肌に付着した物質の「入っていい・悪い」を区別しています。ここで「進入禁止」と認定されたらリンパ球に指令が飛んで攻撃体勢が組まれます(感作が成立する)。
ここまでに最低でも2週間以上の期間がかかるといわれています。逆に言うと、2週間以上使っている化粧品であれば、その2か月後、2年後どれくらい経ってからかわかりませんが、いつアレルギー反応が出てもおかしくないんです。
澤 :私は合わない化粧品は「ぴりっ」と顔に刺激が走るので、すぐにわかります。2週間も使わなくても、早い段階で見分けがつくと思いますが。
関 :それはね、化粧品アレルギー以前に、澤さんの肌が荒れている可能性が高いですね。
澤 :えっ、そんな(笑)。「新しい化粧品が悪い」と信じきっていました。
関 :皆さん、自分のお肌のコンディションが良くないときに、たまたま使って刺激を感じた化粧品を悪者にするんですよ。
たとえば食事でも、胃の調子が悪いときには、ステーキや脂っこいものを食べたら普段はしない胃もたれをしたりするでしょう。肌も同じです。
澤 :経皮感作がどうとかの問題ではなかったですね。痛い所をつかれました。
関 :何かのせいにしたい気持ちはわかるけれど、それは間違い(笑)。
今まで使用していた化粧品でも経皮感作は起きる可能性がある
澤 :関先生、以前フェノキシエタノール(石油系防腐剤)の入ったローションを使ったときは、使い始めて2、3日経つと頬に赤みが出始めて段々ひどくなったんですけど。
関 :この場合は「化粧品かぶれ」でしょうね。濃度による刺激と、アレルギー反応、どちらかの可能性が考えられます。
フェノキシエタノールは元々刺激の強い成分なので、成分の濃度が強すぎて、バリア機能の弱った肌に合わなかった(かぶれた)のかもしれない。
一方で、過去に他の化粧品に含まれたフェノキシエタノールによって感作が成立していたから、アレルギーによる炎症反応が起きたといえるでしょうね。
澤 :化粧品を使用してから2週間以上経った場合に感作が起きるとは、限らないんですね。
関 :過去に肌に入れた成分は、感作されている可能性が高い。その場合は体内に設計図がすでにあるので、2、3日目から反応します。
重ねる回数を変えて腕に何ヵ所か化粧水塗ってみると、刺激からきたものは、赤みが濃度に応じて濃くなります。試してみたら自分でも目安がつきますよ。
そして、最初に戻りますが、2週間以上使い続けたもの、つまり昔から愛用している化粧品でも感作は成立するんですね。
澤 :肌荒れしなかった製品は、一生使えると思いこんでいました!
関 :皆さん同じ誤解をされます。

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皮膚科医が教える経皮感作との付き合い方
関 :来院された患者さんに「化粧品かぶれの可能性がありますね」とお話しても、ほとんどの方が「もう3年使っていますけど!」と、こちらを疑いの眼で見つめてこられますね。
澤 :感作システムをご存じないと、そんな反応が返ってきそうです。ところで、素朴な疑問になりますが、化粧品のアレルギーはなぜ起きるんでしょうか?
関 :その解明は難しいね。人って虫の居所が悪いと普段は気にならない他人の言動にカチンとくるときもあるでしょう?
人間の身体も風邪を引いて免疫が落ちたりストレスを抱えていたり、不摂生な生活で無理がかかるなどの何らかの要因で、体質が変わる(免疫が変化する)んです。それが引き金になるのではないかと思われています。
先ほどの会話の後に、花粉症の発症メカニズム(ある日突然発症する)を例に挙げて説明すると、皆さん比較的納得されますね。ここで、ようやく治療がスタートするんです。
澤 :ご理解いただいたら、その後はどのような流れになるのですか?
関 :疑わしい化粧品の使用はひとまずストップしてもらい、患部へのステロイド塗布で対処します。この間に、感作の原因となる成分を含んだ化粧品を腕に塗って観察してもらいます。
患部は大体5日もあれば軽快しますし、腕に塗った部分が赤くなったらその化粧品の関与は間違いないでしょう。
「腕どうでしたか」と聞いて、赤くならなかった場合には、化粧品以外の物質を疑います。今は空中にPM2.5や花粉、化学物質など、あらゆるものが漂っていますから。
化粧品ばかりが悪者とは限らない。
赤くなったら、顔の一部に塗布して確かめた後に、アレルギーの原因となった成分を、成分パッチテストで特定します。
澤 :何段階にもわたる検査は大変ですね。もし自分が患者さんだったらと想像してみたのですが、感作の成立する成分は今後避けるとして、新しくどんな化粧品を選んだらいいか迷うと思います。
肌に優しい成分の入った、関先生お勧めのコスメはありませんか?
関 :その人その人で肌に合う・合わないがあるからね。全ての方に大丈夫な化粧品はないです。
天然成分でも漆(うるし)のように、かぶれる成分もあるから安全とは言いきれないし。あるとしたら水くらいかな。
澤 :限りなくシンプルになりますね。肌に慣れた化粧品をこれからも使い続けるために、自分の体質が変わらないことを祈ります。
関先生、私を含めた化粧品ユーザーに向けて、今回のまとめをお願いします。
関 :化粧品を疑う前に、まず自分のお肌が痛んでないかを疑いましょう。
そして、新しく使い始めた化粧品と同様に、今まで使っていたものも、かぶれの原因になる可能性について考えてみてください。
澤 :ありがとうございます。勉強になりました!

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