化粧品に石油系原料が配合される理由、消費者があまり知らない「3年ルール」

市販の化粧品のほとんどには、防腐剤をはじめとした様々な石油系の化合物が配合されています。では、なぜ石油由来の原料が化粧品に使われているのか。あらためて考えてみると、明確な理由を説明できる化粧品ユーザーは少ないのではないでしょうか。株式会社ルバンシュ 代表取締役の千田 和弘(せんだ かずひろ)さんに、ライター澤あきこ(さわ あきこ)が、意外な成分の配合された化粧品の存在する理由をお聞きしました。

目次
石油系原料を化粧品メーカーが支持する理由
消費者には耳慣れない化粧品の「3年ルール」
化粧品の品質保持のための取り組み


株式会社ルバンシュ 代表取締役の千田 和弘(せんだ かずひろ)さん

石油系原料を化粧品メーカーが支持する理由

(以下、澤) :コスメの成分表示に注意するようになると、大抵の製品には何らかの石油系の成分が複数含まれていると気がつきました。やはり、石油系の原料の原価が安いから、これらは使われるのでしょうか?

千田 和弘さん(以下、千田) :たしかに天然原料は、その希少性や成分の抽出方法の違いなどから、一般的に石油系の原料より高価になります

同じ保湿成分で比較すると、石油由来のPG(プロピレングリコール) が1gあたり0.1円に対して、天然由来の原料でTVCMなどでよく耳にする、“スーパーヒアルロン酸*”と呼ばれている成分は、1gあたり1,000円もします。

この2つの成分では、なんと10,000倍の価格差が発生します。

したがって、天然原料の代わりに石油系の原料を多く使うほど、化粧品メーカーの製造コストが抑えられるのは間違いないです。

とはいえ、安価であるという理由だけで、石油系の原料を添加しているとは限りません。

メーカーが石油由来の原料をコスメに配合する背景には、製造原価以外の要因、化粧品を取り巻くルールが大いに関係しています。

*スーパーヒアルロン酸の正式名はアセチルヒアルロン酸Na。

 :意外でした。私はてっきり、メーカー側のコスト面での都合から、石油由来の原料を製品に使用するのだろうと予想していたので。

千田 :化粧品業界で通称「3年ルール」と呼ぶ、この規制を順守するには、石油系の原料に頼らざるをえない現状があるんです。

消費者には耳慣れない化粧品の「3年ルール」

 :化粧品の「3年ルール」。初めて聞きましたが、どんな内容でしょうか?

千田 :化粧品は薬事法で、「製造又は輸入後適切な保存条件のもとで、3年を超えて性状および品質が安定しているものは使用期限の表示を行わなくてもよい」と定められています。

つまり、3年で変質しない化粧品を製造すれば、作り手は製造年月日や品質保持期間を記載しなくても問題ないわけです。

ただし、それには作り手側であるメーカーが、化粧品の品質を3年以上保持(使用可能な状態に保つ)する責任を問われます。

その点を考えると、3年以上中身の劣化しない製品を作るためには、メーカー側にとって、品質が変化しにくい安定性の高い成分の方がより望ましいといえます。

製造する立場からすると、品質保持や保管に手間がかかる天然原料よりも、石油系の原料の方が全ての面で扱いやすい。だから、使われるんです。

 :安易に石油系の化合物を使用しているのではなく、3年は腐らないコスメを作らなければならない、という前提から原料が選ばれていたのですね。

生活全般において消費者のナチュラル志向が高まるなかで、依然として化粧品メーカーが石油系成分をコスメに配合し続ける、その謎がとけました。


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化粧品の品質保持のための取り組み

千田 :もうひとつ、石油系の原料が優先される理由があります。通常化粧品は、製造後にはメーカーから商社や問屋、系列販売店などに卸され、そこで保管されます。

けれども、流通の段階で複数の業者が仲介するケースもみられ、そのような場合には、製造からどのくらい経過してユーザーの手元に製品が届くか、はっきりしません

あってはなりませんが、不適切な環境で製品が保管される場合も考慮すると、メーカー側は、よりリスクの少ない原料を選択します

不安定な天然原料よりも保管にさほど神経を使わなくてよい石油系の原料が多用されるのは、ある意味当然の結果ともいえるでしょう。

 :メーカー側は3年ルールを守るために、自分たちではコントロール不可能な(場合も考えられる)、流通面の課題にも対応する必要もあるんですね。

ルバンシュでは品質保持のために、どのような取り組みをされていますか。

千田 : 当社は防腐剤まで天然由来の成分から作られる化粧品を扱っている関係もあり、常に新鮮な製品をお客様にお届けするように努めています。

ですから直接販売にこだわり、主に通信販売の形態で製品を販売しています。

また、限定した店頭での販売もおこなっていますが、販売店にご協力をいただき、新しい製品がお客様のもとに届くシステムを採用しています。

 :具体的に教えてもらえますか。

千田 :ルバンシュ製品の裏(底)には、製造年月日を表す製造番号が書いてあります。ショップで当社コスメを扱う会社には、製造記号から製造年月日がわかる独自のルールを開示しているんです。

万が一、店員さんから「いつ頃製造されたものですか」と照会があった場合には、即座に製造年月日をお伝えして、製造から期間が経ったものを保管しないよう注意を払っています

製造番号による在庫管理をお店でも実行してもらい、直販以外のコスメであっても、新鮮な状態でお客様にお渡しできる仕組みをとっています。

 :このように品質管理を徹底している会社は珍しいのでは?

千田 :他の化粧品も取り扱う販売店のスタッフさんからは、ルバンシュが唯一の、「化粧品についている製造番号の読み方を教えてくれる」メーカーだといわれますね。

 :そこまでされているから、本当に最適な形で天然成分配合の化粧品を、消費者に提供できるのではないでしょうか。

コスメ業界は、奥深いですね。3年ルールの存在や、それにまつわる品質保持の問題を知って、私のなかで化粧品全般に対する考えが深まってきました。


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