オーガニックコスメにも石油系成分配合?

化粧品メーカーの「(株)ジョン・マスターオーガニック」が、商品の表示ラベルに不備があったとして、2017年9月より38品目121万個の製品の自主回収を始めました。
これは、オーガニックコスメと化粧品業界全体の信頼を揺るがしました。その一方で、消費者である私たちに、改めて「化粧品との付き合い方」について考えるきっかけを与えてくれたともいえます。
株式会社ルバンシュ 代表取締役の千田 和弘(せんだ かずひろ)さんに、ライター 澤あきこ(さわ あきこ)が、消費者側からは不透明でわかりにくい化粧品業界のお話を伺いました。

目次
オーガニックコスメに統一基準はない
オーガニックコスメに石油系合成成分が含まれている
ユーザーはコスメの目利きとなるべし


株式会社ルバンシュ 代表取締役の千田 和弘(せんだ かずひろ)さん(右)、広報担当の五十村(いそむら)さん(左)

オーガニックコスメに統一基準はない

(以下、澤) :日本では農薬や化学肥料などに頼らず自然界の力で生産された農産物が、農林水産省の有機JAS規格にもとづき「有機・オーガニック」と認定されます。

同じようにオーガニッククコスメにも、何か決まりのようなものがあるのでしょうか。

千田 和弘さん(以下、千田) :オーガニックコスメに関しては、国内外問わず、ひと言では定義できないですね。

これまでオーガニック先進国のヨーロッパやアメリカの複数の団体は、原料や製品のオーガニック成分の含有率などに独自の基準をもうけてコスメを認証してきました。そのため、世界的に基準が統一されていないのです。

しかし、食の安全性に対する関心の高まりと、自然派化粧品ユーザーの増加を追い風に、2010年には、EUの5団体がNPO協会「コスモス」をヨーロッパで立ち上げました。現在では、こちらの認定基準が国際的にスタンダードとなりつつあります。

 :世界中に異なる基準がある。ということは、オーガニックコスメの原料は、有機栽培された植物由来の天然成分だけではないのでしょうか。

 

オーガニックコスメに石油系合成成分が含まれている

千田 :そうなんです。「コスモス」では、使用可能な合成化合物リストを作り、石油系合成成分の使用を認めています


使用が認められている石油系防腐剤、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム

そのほとんどは、保存料(防腐剤)です。なかには、日本の旧厚生省がアレルギーを起こす恐れがあるとして表示義務を定めた「旧表示指定成分」の防腐剤、安息香酸ナトリウムやソルビン酸カリウムも含まれています。

 :オーガニックを推進する協会が、石油系の防腐剤を使って良いと認める点に矛盾を感じます。

千田 :おそらく協会としても葛藤があると思うんですね。では何故「コスモス」が石油系の原料を許可するのかというと、石油系の防腐剤なしでは安全な化粧品を作れないからです。

環境と身体に優しいナチュラルな化粧品作りで、一番のネックとなるのが防腐剤です。残念ながら、いま市場に出まわっているオーガニック系コスメのほとんどに、石油系の防腐剤が入っています。

海外・日本を問わず、どの化粧品メーカーも、皆さん何らかの形で石油系の防腐剤に頼っている。それ抜きでは、オーガニックコスメ業界が成り立たないのです。

 :オーガニック食品のイメージにつられて、「オーガニックコスメ」も、身体に良い安全な成分だけでできている、と思いこんでいました。でも、そうとは限らないのですね。

 

ユーザーはコスメの目利きとなるべし

 :ルバンシュでは、どのような防腐剤を使っているのですか。

千田 :当社では医薬部外品の薬用美白スポッツを除いたすべての化粧品に、ワサビ根発酵エキスや、ローズマリー葉エキスから作られた天然成分の防腐剤を配合しています。最近では、天然の原料・防腐剤にこだわる原料メーカーさんも増えてきて助かっています。

 :(化粧水の表示成分を確かめる)上から3番目に「乳酸桿菌/ワサビ根発酵エキス」と書いてありますね。

千田 :化粧品の成分表示は、配合の多い順番に並べます(但し、1%以下は順不同)。天然由来の防腐剤は穏やかに作用するため、配合量を多くしなければならず、表記は上にきます。

大手化粧品メーカーさんの使う石油系の防腐剤なら、ほんの少しだけで済むんですけどね。

 :天然と石油系では、同じ防腐剤でも中身が違うんですね。

千田 :天然と石油系、防腐剤の価格差は、何倍から何十倍になります。おまけに天然成分の防腐剤は、自然のものから作られるので品質が不安定なうえ、添加するときには他の原料との相性も考えなければいけない。

その点、原価が安くて1%にも満たない配合率でコスメの品質を保てる石油系の防腐剤は使いやすいですよね。

コスト面で割高で、製品の安定性に悪影響を与えかねない天然の防腐剤を高配合した製品は、世界的にもそれ程普及していないのが現状です。

石油系防腐剤の使用以外にも、日本では、1種類だけ微量のオーガニック成分を配合した製品や、オーガニック成分と石油成分で作られたものも、一律に「オーガニックコスメ」として販売されているものもあります。同じオーガニックと称した製品でも、内容はさまざまです。

 :今回のジョン・マスターオーガニックの例が、まさに当てはまりますね。

千田 :成分表記に不備がありましたね。配合量のもっとも多い成分が、ラベルに書かれている「アロエベラ液汁」ではなく「水」であったり、ノンシリコンをうたっておきながら、実際にはシリコン(ジメチコン)が配合されていたり。誤りではすまされない、ひどい実態が露呈しました。

 : 何をオーガニックと定義するかは、ある意味メーカーに任されているのですね。私たちユーザーも、「オーガニック」の表示だけで良いコスメと判断するのではなく、中身も本当に「安全で安心」であるのか考えないと。

千田 :本物のオーガニック製品を扱う会社であるかどうか。消費者側のコスメを見極める力が求められるでしょうね。

 

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